国指定重要文化財 中村家住宅
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観る観光から、知る観光へ。「中村家住宅」
王朝時代より戦前戦後の沖縄の住居建築の特色を全て観ることができる「中村家住宅」は、今から約500年前に賀氏(がうじ)によって作られたと伝えられています。第二次世界大戦の沖縄戦でも奇跡的に消失を免れ、屋敷構えが綺麗に残っているとても貴重な建造物です。当時の沖縄上層農家の暮らしを感じることができる遺構として、1972年には国指定重要文化財として認定されました。
「中村家住宅」で長年、ガイドを勤めている「北中城村文化財保護審議委員会」会長の比嘉栄吉(ひがえいきち)さんにガイドをしていただきながら、お話しを伺いました。
非対称な建築
入り口で立ち止まり「何か面白いことに気がつきませんか?」とガイドが始まります。気付けずにいると「左右の直線や、角度はどうでしょうか?」とヒントをもらいました。
よく見ると石積みの高さや階段の角度が左右非対称なことに気がつきます。これは当時、中国の風水美を意図して作られており、決して建築技術が低く、対称に作ることができなかった訳ではありません。「中村家住宅」にはこうした非対称を意識して作られたところがいくつかあるので、ぜひ探してみてください。
クイズのように楽しませてくれる比嘉さんのガイドは、老若男女問わず興味を持ってもらえるよう工夫されています。
聞いて気がつく小さな違い
続いて門を潜り抜け、屋根を指差して「さて、違いがわかりますか?」と比嘉さん。少し時間がかかったものの、今回はその違いがわかりました。
それぞれの建物の瓦に注目してみてください。目の前にあるウフヤ(母屋)と呼ばれる、現代のリビングのような場所の瓦は模様が無く至ってシンプルな作りです。
一方、母屋の右手にあるアシャギ(離れ座敷)と呼ばれる、神事を行ったり上役たちの地方巡視に来た際に宿泊所として使用していた場所の瓦はどうでしょうか? 複雑な模様と三角の形が豪華な印象を受けます。つまり、神様や上役を敬った仕様だったそうです。
「中村家住宅にはもっと細かな専門的な情報が詰まっているのですが、こういった小さな違いの発見が興味の入り口になります」と比嘉さん。
多様な建築様式
次に教えてくれたのは、ウフヤ(母屋)とアシャギ(離れ座敷)の屋根の形の違いです。
ウフヤ(母屋)の屋根は反りが入っています。これは中国からの影響を受けたものです。
一方、アシャギ(離れ座敷)は、直線的な屋根の形をしています。
こうした違いから、約300年の時間で、室町時代の日本建築と中国建築の様式を併せ持つ貴重な建築家屋として代々大切に受け継がれていることがわかります。
十二代目との出会い
「中村家住宅」の入り口で、比嘉さんと腰を下ろし休憩していると、中村家住宅の十二代目の方とお会いすることができました。
6歳頃まで実際に「中村家住宅」に住んでいたと言うので驚きです。思い切って当時の様子を聞いてみました。
家の中が暗くて困っていたことや、屋根に登って遊びながら瓦の隙間に生える草むしりをした思い出などを話してくれました。お正月やお盆、お彼岸などの行事ではたくさんの人で溢れ、それはそれは賑やかな家だったそうです。
実際にここで暮らしていた方から当時のお話を聞くことができ「中村家住宅」での暮らしと温もりを感じることができました。こんな貴重なお話を聞くことができる国指定重要文化財はとても珍しいのではないでしょうか?
比嘉さんは「綺麗な海で知られる沖縄。それだけではなく、奥深い歴史にも触れて欲しい。【観る観光から知る観光】へと注目されることを目指し「中村家住宅」を脈々と次世代へ受け継いでいくために尽力したい」と話してくれました。
「中村家住宅」を訪れた際は、ぜひガイドの方やスタッフの皆さんとゆっくりお話しして、見学することをお勧めします。きっと、一味も二味も違った楽しみ方を教えてくれます。何度来ても新しい発見がたくさんあるはずですよ。
沖縄CLIPフォトライター (株)村上佑写真事務所 https://okinawaclip.com/ja/detail/2046
INFORMATION
基本情報
住所 | 沖縄県中頭郡北中城村大城106 |
---|---|
営業時間 | 9:00 〜 17:00 |
定休日 | 水曜日・木曜日 |
平均予算 | 【個人】大人:500円中・高生:300円小学生:200円【団体】大人:450円中・高生:270円小学生:180円 |
電話番号 | 098-935-3500 |
予約 | 不要 |
駐車場 | あり |
公式URL | https://www.nakamurahouse.jp/ |
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